2012年3月16日金曜日

「サムスン式仕事の流儀」をよみました。

東南アジアに来てサムスンの強さを生活してく中で感じることが多く、また、サムスンの地域専門家制度にも興味があったので、思わず書店で購入した本。

サムスン式 仕事の流儀 5年で一流社員になる
ムン・ヒョンジン
サンマーク出版
売り上げランキング: 193


感想
島耕作(団塊の世代)の本の中に出てくる仕事一本で生きるの本を読んでいるかのようだった。このサムスンのガチムチなブルドーザーのパワーを感じれたのはよかった。
個人の視点から書かれているため、具体的な仕事の進め方、人間づきあいの方法論は学ぶところが多かった。ただ、、、
この著者の最終的な価値観が「自分自身の成長」のみに限定されているように感じられ、著者に魅力を感じられなかった。「己の成長のみの追求」という最終的な価値観が、方法論にもどこかで反映されており、ノウハウも冷たく魅力を感じない働き方も一部感じられた。

仕事の進め方について
↓のような具体的な仕事上で必要な方法論が満遍なく記載されていて、社会人としての重要な基礎的テクニックを網羅的に確認するには適している本だった。

・会議の進め方
・スピーディーな報告の具体的方法
・スーツの着こなし方、接待の方法
・上司及び部下との付き合い方

著者の価値観に違和感あり
しかし、著者の価値観に違和感を感じ、方法論にも?が浮かんだ。副題を付けるなら「サムスン式仕事の流儀ー会社で勝ち抜き一番で役員になる方法ー」がしっくりくる。「何のための仕事か?」、この著者の答えは「自己顕示するため」、「自己成長するため」、「他者に勝つため」ではないかと感じた。例えば、この本の中で、ジョブスが部下から尊敬と忠誠心を持って仕事に邁進できた秘訣は「あの人と仕事をすれば必ず何か学べて、成功に近づくことができる!」と部下が確信できたところにあると書かれていた。それが秘訣だとは思えなかった。ジョブスの強い志に惹かれたのであって、自己の成長や成功ができるから付いていったのではないようにぼくは思う。「夢を持っているか?」と問いかける場面があった、例として「将来役員になる」ことが挙げられていたが、それは最終的な「夢」ではなく手段にすぎないのではないか。

東レ経営研究所社長の佐々木常夫氏が執筆した「そうか、君は課長になったのか」を読み、ハウトゥーとともに根底にある「志」の哲学に感動した覚えがあるが、この著者とは表面は同じでも根っこが違うように思えた。

魅力ある人とは
仕事の目的に、人生の目的に、どこか少しでもいいから「他者や社会へいい影響を与える!」という「志」を感じる人だ。坂本龍馬にせよ、松下幸之助を始め稲盛和夫など日本経済を支えてきた経営者の本を何冊か読んできたが、「志」がまず基盤にあり、その上に知識と工夫がのっかているように思う。Googleで働いている日本人の社員についての記事を以前読んだことがあるが、「冗談じゃなくて、私達は世界を変えていくという自負があるんです」というようなことが書かれていた。転職活動で東南アジアを飛び回った中でも特に印象に残っていた経営者の方は「ぼくは学歴がないからこそ、アジアで成功事例を残して、同じ境遇の人を励ましたい」と言われていた。

日本ではこのサムスンの著者のように「出世して役員になる!」というようなリーマンは減ってるとは思うが、「安定を保つため」、「ある程度自分が幸せに生きるため」ということだけが価値観になってる人が増えてきているように感じる。悪いことだと思わないが、自分は違う生き方でいたいとは思う。

とはいえ、結果だ
この著者自身がグループ長としてフィリップスの売上を300億ウォンから5,000億ウォンに伸ばしたという実績がある。また、サムスン自体も10年前に比べたら、急激に伸びており既に日本の電子機器メーカーを凌駕している。いくらきれいごとで「志」といっても結果がついてこなければ、きれいごとで終わる。この感想自体が日本の「ゆとり」といわれるべき感想なのかもしれない。大学時代の40代くらいだった社会人の方の講義は、今でも印象に残っている、「20代は仕事以外ないってくらい働いたよ」っていう発言。とにかく、世間は結果だ。いきおいとパワーを持ちながら、「仕事ができる優秀な人だ」と「人間的にも魅力的な人だ」が両立できるような結果を出せる人になりたいと思った。

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