2012年4月6日金曜日

「日本人の9割に英語はいらない」を読みました。

日本人の9割に英語はいらない
成毛眞
祥伝社
売り上げランキング: 16228

読もうと思った理由
最近海外に出て、英語を使う機会が多くありました。それなのに、英語でうまくコミュニケーションが取れないもどかしさがありました。インドネシアの人たちと話すにつけ、日本人はどうして英語がこうもできないものかと感じます。

シンガポールや香港に行った時には、英語環境をうらやましくも思う反面、それは植民地化されていた歴史の背景があるからで、日本語をしゃべっている日本を誇らしく思う気持ちもありました。

そのように思っていた中、マイクロソフト日本法人の元社長にもかかわらず、このようなタイトルの書籍を出版していることを知り、思わず購入しました。(いつも思わずです)

(こっから「だ」調でウザいです)

この本が言いたいことのぼくなりの解釈
英語は手段であり、目的のない英語学習はムダである。今ほとんどの日本人に必要なのは英語よりも「日本人力」だ。英語に使う時間があるなら古典、歴史書を読む方が有益だ。英語が必要になる研究者や商社マン、外資企業に勤める人は、必要に迫られた時にやれば十分間に合う。独自の歴史と文化があり、経済で他国に大きく依存する必要がない日本だからこそ、日本語による日本人としての教養を大切にするべきだ。
(後半は「それでも英語を勉強したい人へ」という章で具体的な英語の勉強ノウハウを紹介している。)

ぼくの感想
・中学からの学習は合理的選択か?
たしかに、9割の日本人に英語が必要ないというのは納得がいく。先日、スターバックスで主婦が外国人と英会話レッスンを受けていた。その主婦は、ハワイに行くため今英会話を勉強していると言っていた。趣味として英会話レッスンを受けて自己研鑽するということは素晴らしいことだ。ただ、ハワイに人生で多くても計1ヶ月もいない。そのためだけに中学生の頃からあんなに勉強しなければいけないというのは非効率だ。それなら、必要に迫られた時にやればいいという著者の考えは合理的だ。



・「英語は必要?」
さて、ぼくにとって「英語は必要?」と問われるなら、「英語はいる」と答える。それはどうしても英語が「世界の標準語」になっているからだ。英語圏はもちろん、世界中の(教育における)上位層の人達は英語が話せる。そんな多くの人達と交流するツールを簡単に手放すのは、好奇心旺盛なぼくにとってもったいない。

ただ、どの程度英語に力を割くのかが難しい。「今、英語の勉強をしていますか」と問われたら、「インドネシア語は勉強してます」と答える。やはり、必要に迫られてやるのが最も効率的なのかもしれない。

・「日本」を知るための手段
日本を知るという点で、歴史や文化などの教養を学ぶことが大事だ、という意見に対してはぼくも同意する。ただ、英語を学び、他文化と触れ合うことの方が、日本人としての自覚や育ってきた環境を確認する手段としては有効なのでないだろうか。

・「日本」という背景があるぼく
ぼくは根本に国や人種によらない「人間主義」としての価値観を持っている。そのため、以前は「愛国心」という言葉にどこか胡散臭さを覚え、街頭で大声を上げている人のネガティブなイメージが、その言葉につきまとっていた。

ただ、外国に住むにつれ、どうしても日本という場所で育ってきたことが、今のぼくの性格や習慣を形成しているということを感じざるをえなかった。ぼくを作ってきた要素である日本は、過去の歴史や文化の積み重ねで形成されている。

世界を舞台に自分の強みや弱みを知るためには、まず己を知る必要があり、自分が育ってきた日本を知る必要がある。そう感じると日本を知るように努力したくなる。我ながら、「愛国心」と呼ばれているものが出てきたのには驚く。

ぼくにとっての「愛国心」は、「自己愛」に近い。世界での「ぼく」を考えた時に、日本は、ぼくを形成した大きな要素だ。ぼくは、自分自身の可能性を否定する考え方が好きではない。ルーツとしての日本の可能性も肯定化したい。人間と同じで、悪い面は改善し、良い面は伸ばしたい。ぼくは、ぼくが好きだ。だから、日本も好きだ。

・「北朝鮮と戦える?」
「北朝鮮が攻めてきたら(武力的な意味で)戦える?」という質問を最近受けた。「戦えない」とぼくは思う。「日本は重要なルーツ」ではあるが、ルーツは1つではないし、「人間主義」の価値感を最も大事にしたい。意思決定における最上位の価値観は、宗教とほぼ同意だ。

ただ、日本はぼくを形成する重要なルーツであり感謝がある。極限まで非暴力の方法で努力したいが、あまりに命が傷つけられていると判断した時は、日本のために(武力的に)戦うこともあり得るかもしれない。

・まとめ
「日本」を考えるようになったのも、外国にいて他文化と接したからだ。英語を学び交流することが、日本人としての教養をつけるための有効な手段になるだろう。ただし、実用面での費用対効果を考えながら。

☆ ☆ ☆
大学の頃に、深夜語るような話題でした。
自分の頭だけで考えてたことなので、独りよがり率が高いです。
今回も、いつもながら想定していた方向と違うことを考えさせられる本でした。

1 件のコメント:

  1. 同じ事を思ってました。外に出て、他国の人と話したお陰で日本人である自分を肯定し日本を誇りに思うようになった。中学からの教育にも感謝してる

    返信削除

ShareThis